2019-01-01から1年間の記事一覧

息は流さない

発声について、長い間ずっと思っていた疑問がある。 いくら調べても、ここに触れているものに出会わないのも謎である。 考えてみて分かるものではないがで、結論が出るかどうかは別として、 頭の中を整理してみる。 それは、息を吐く時のお腹の動き。 以前、…

積み上げ方式

発声レッスン中に、ああして、こうしてと指導されたとしても、 すぐにその場で対応できるとはかぎらない。 もし、仮にできたとしても、それは偶然であって、 別な個所を指示された瞬間、元に戻ってしまうだろう。 発声練習には、積み上げ方式が必要ではない…

肋骨が広がる

前々回の記事で、呼吸筋について少し詳しく書いた。 腹式呼吸と言うと、横隔膜を下げて吸い込む動作と、 お腹をコントロールして吐く動作の一連を指すと思う。 吐き方に関しては、ベリーアウト、ベリーインとそれぞれのやり方があるが、 息の吸い方に関して…

「教わることの落とし穴」

最近、古武術研究家・甲野善紀氏の、 「教わることの落とし穴」というDVDを購入した。 元々、興味を持っていた人であり、本を読んだこともある。 この教わることの落とし穴とは、まさにこのブログの主旨と一致するところだろう。 そう思って見始めたのだが、…

三大呼吸筋

呼吸筋と呼ばれる筋肉群の中で、特に発声に重要な筋肉が三つ。 横隔膜、肋間筋、腹横筋。 横隔膜は、言わずと知れた呼吸筋の主役。 筋肉の塊と言われるが、調べてみると全てが筋肉ではないようだ。 頂点部周辺は「腱中心」と呼ばれ、面状の腱になっているら…

肺活量は陰圧で決まる

息を吸ったり吐いたりする時、横隔膜は上下運動している。 正確には、ドーム状(凸型)になった横隔膜が、 筋収縮によってフラットになるだけであり、 凸から凹へと上下しているわけではない。 力を入れているのは、横隔膜が収縮する吸気の時だけであり、 呼…

自転車に乗る練習は?

前回の記事では、発声練習で身振り手振りを加える補助イメージについて書いた。 問題とするのはそのあと。 なぜそれが定着しないのか? たとえば、自転車に乗る練習を始めた時、最初は補助輪を付けた。 それでコツをつかんでから補助輪を外すのだが、 恐怖感…

スキージャンプのように

私が実践している、最高音を出す時のおまじない。 紐の先に石を結んで、ぐるぐると腰の高さ辺りで回転させるイメージ。 そして、最高音を出す瞬間に、紐の付いた石を頭上前方に高く放り投げるイメージ。 オクターブ跳躍で最高音を出す時、この動作を加えるだ…

眉間と胸

「オ」の母音を使って発声練習をした。 身体を開く感覚が、「オ」にはあるらしい。 そして、今度はその開いた声を、一本に集めるのだと言う。 「一本に」とは、身体を棒のように縦の繋がりをもって、 眉間に声を集めなさいという意味らしい。 前記事で書いた…

固有覚を鍛える

前記事で書いた、胸の響きについて改めて意識してみる。 肋骨が振動していると書いたが、正確にはその肋骨が真ん中に集まっている、 胸骨という板状の骨で振動を感じていた。 今は、その胸骨が最大限に振動するような練習を心掛けている。 練習は、通勤で自…

胸の響き

高い音の響きがマスクに集まるようになると、今度は低い胸の響きが求められる。 高い響きと低い響きの共存。 これがソロで歌う人の条件。 それは、一人で3パートのユニゾンをやっているようなものかもしれない。 ベース、バリトン、テナーの三部もしくは、…

リップロールという現象

リップロールという発声練習方法がある。 唇を閉じた状態で息を吐いて、唇をプルプルと振動させるのである。 リップロールは、唇周辺に力が入っているとできない。 そこで、唇周辺の力を抜く練習としてこれが用いられる。 私は以前、発表会で歌った時、声楽…

脱力と付加

緊張と弛緩のトレーニングをやってみた。 目標は、緊張している部分と弛緩している部分の両方を、同時に感じること。 それによって、バランスという考え方を実感してみる。 まずは、100%の弛緩から。 ターゲットは、首から上のみとした。 声量も要らない、…

緊張と弛緩のミックス

アアアアアアアアアアアー (♪ドレミファソファミレドー) という定番の発声スケールをするときに、 下がった時のドの音程が、若干低くなる癖がある。 自分ではそれに気づかない。 たとえそのように指摘されたとしても、 自分の耳がそれでよしと補正している…

習い方あるいは教え方

書いていて思うのだが、発声の習い方は、発声の教え方でもあるということ。 それは、習うことと教えることが同じことを意味することでもある。 「習う」とは、自分自身に「教える」ことではないだろうか。 ならば、誰かに教えて貰おうといういう気持ちがある…

区別の次には

「響き」と「鳴り」について区別をしてみたが、 理想的には、鳴りの効率を最大限にして、響きを最大限すること。 つまり、欲張って両方を手に入れること。 良くないのは、鳴りの効率がいい場合につい楽をして、響きをおろそかになってしまうことと、 響きが…

響きと鳴りの区別

大きな声が出ている状態について、「鳴っている」とか「響いている」と言う言葉が使われる。 どちらかと言えば、「鳴る」は「響く」の中に含まれているような感じがあるのだが、 結果としては似たような意味であっても、成り立ちは違うのではないだろうかと…

喉を閉じない意識

発声練習で大事なのは、段階を踏んで理解していくことではないかと思う。 長期間の練習を重ねて、何となく以前よりも上手くなっきたというのでは心もとない。 段階を踏むとは、その小さなステップごとの差異に気づくことであろう。 たとえば、前回のミックス…

セパレートなミックスボイス

ミックスボイスという言葉は、頭で理解するために模式化された一つの概念である。 だから、2種類の声を混ぜるというイメージを持ってしまうのは間違いのように思う。 そこには、「混ぜる」という意味は含まれていないと理解している。 ”頭声の響きと胸声の…

スケールは難しい

発声練習と言えば、ピアノに合わせてスケールを母音で歌うというのが定番だろう。 合唱団で、歌う前にウォーミングアップとしてやるのならばそれもいい。 直前にピアノで音を出してそれに合わせるというのは、 決まったテンポと正しいピッチを提示して、みん…

痰が絡む

喉に痰が絡まった状態が長く続いている。 風邪と違って、喉の炎症や痛みは無い。 声帯に痰が付くことで重くなるためか、声が低くなる。 ゴロゴロと声がふらつく。 突然、音量が増えたり、小さくなったり、裏返ったり、かすれたりと 声のコントロールが効かな…

組み立て説明書

例えば、「声の中に地声の成分が強すぎるから、もっと喉を緩めて」と言われたとする。 しかし、喉を締めているという自覚のない人が、喉を緩めることは不可能である。 次に、「胸の辺りの響きをもっと強くして」と言われたとする。 もしかしたら、私の中では…

仰向けで歌う

前回に続いて、仰向けで歌ってみる。 たしかに、立って歌うときよりも声は伸びないし、高音も苦しい。 しかし、その後で立って歌ってみると、とても楽に声が出せていることがわかる。 一般的に発声指導というものは、こうすると声が良く出るとか、 高音が出…

ライオンの発声

先日、Eテレのクラッシック番組で、「テノールの魅力」を紹介していた。 どうやったら、オペラ歌手のような声が出せるのか? そんな素人の疑問に、テノール歌手の笛田博昭さんは、 ライオンの発声法がお手本になっていますと答えていた。 動物園でのライオン…

体感覚よりも聴覚を

難しそうな資料をいろいろと並べてみたが、 単語は難しくても、言っていることはとても簡単なことだ。 ある意味、「声を後ろに回して」とか、「音を眉間に集めて」と言ったことの方が、 言っていることは簡単でも、複雑で難しいことを言っていると思う。 も…

一つの結論として

「ア」を発声したときのスペクトラム波形例を、ネット上で探してみた。 125Hzが最低周波数になっているので、これが基本周波数ということになる。 この125Hzの後に、250、375と続く倍音成分の小さな山の群れが出てくる。 ピークを250Hzとした第1フォルマント…

歌手フォルマントの作り方

「3kHzというとかなり高い響きのはずだが、いくら高い響きを意識しても、これが全く出ない。 むしろ、基本波よりも低い倍音を出すようなイメージで発声したときの方が、 3kHzが出ているという感じがする」 少し前の記事の最後に、このようなことを書いていた…

声帯は弦の振動ではない

声のピッチは、声帯の開閉によって作り出された周波数によって決まるわけだが、 その開閉を生み出しているのは、ベルヌーイ力と呼ばれる息のスピードである。 息の量とスピード(声門体積速度)と、声帯の厚さ(単位あたりの重さ)がそこに関係している。 よ…

肺は共鳴?反共鳴?

”喉頭音源を完全に独立な系とみなしてきた。だが、これは完全に正しいというわけではない。” こう書いているのは、バイブル的存在である、スンドベリの「歌声の科学」。 ”調音パラメータの変化は、声道の形状すなわちフォルマント周波数にだけ影響すると考え…

基本周波数の役割

スペクトルグラフは、発声においてとても参考になるものだが、 わたしたちの聴いている音と完全に一致しているわけではない。 P.ラディフォギッドは、人の聴覚についてこう述べている。 ”反復波形を有する複合音の高さの知覚は、最大振幅をもつ成分の周波…