スキージャンプのように

私が実践している、最高音を出す時のおまじない。

紐の先に石を結んで、ぐるぐると腰の高さ辺りで回転させるイメージ。

そして、最高音を出す瞬間に、紐の付いた石を頭上前方に高く放り投げるイメージ。

オクターブ跳躍で最高音を出す時、この動作を加えるだけで、

声は上手く抜けてくれる。

 

発声練習の時に、手の動きを補助イメージとして加えている人は多いだろう。

確かに効果はある。

しかし、残念ながら、本番中に手を頭の上に持っていったり、

動かしたりすることはできない。

そのために、今度は補助イメージを外すというトレーニングが新たに必要となるだろう。

そこまでやって、はじめて効果的だと呼べるだろう。

 

もう一つ、最近、考え出した補助イメージの紹介。

スキージャンプの選手になったつもりで、ジャンプ台から踏み切るところを再現してみる。

まず、踏み切り前は、軽く膝を曲げ、両手を後ろ手に組み、

ジャンプと同時に手を羽根のように開きながら膝を伸ばし、

V字飛行のようにできる限り前傾姿勢になる。

遠く眼下には、雪を被った街並みが見えてくる、

その街まで届くように、「ワーッ!」っと大きく感嘆の声を上げてみる。

下からは、強い向かい風が吹き上げてくる。

背中や後頭部辺りが後ろに引っ張られている感じがする。

喉はしっかりと大きく開き、声が背中や後頭部をしっかりと回って、遠くまで届いている気がする。

 

このように、発声練習というものは、

「たとえば〇○のような感じで、声を出す」という指導が中心になっていると思う。

でも、なぜそれが効果的なのかは説明できない。

よって、補助イメージを止めてしまうと、また元に戻ってしまう。

大事なのは、スキージャンプで空を飛んだとしても、その後の着地まで続けることだと思う。

声を出しながら、少しづつゆっくりと身体を元の直立姿勢に戻していく。

そして、着地しても同じ声が出せている時。

その時の、身体の感覚、音をしっかりと記憶することだと思う。

それは、飛ぶことで出来たと思って舞い上がっている時よりも、

大切なことではないだろうか。