2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

組み立て説明書

例えば、「声の中に地声の成分が強すぎるから、もっと喉を緩めて」と言われたとする。 しかし、喉を締めているという自覚のない人が、喉を緩めることは不可能である。 次に、「胸の辺りの響きをもっと強くして」と言われたとする。 もしかしたら、私の中では…

仰向けで歌う

前回に続いて、仰向けで歌ってみる。 たしかに、立って歌うときよりも声は伸びないし、高音も苦しい。 しかし、その後で立って歌ってみると、とても楽に声が出せていることがわかる。 一般的に発声指導というものは、こうすると声が良く出るとか、 高音が出…

ライオンの発声

先日、Eテレのクラッシック番組で、「テノールの魅力」を紹介していた。 どうやったら、オペラ歌手のような声が出せるのか? そんな素人の疑問に、テノール歌手の笛田博昭さんは、 ライオンの発声法がお手本になっていますと答えていた。 動物園でのライオン…

体感覚よりも聴覚を

難しそうな資料をいろいろと並べてみたが、 単語は難しくても、言っていることはとても簡単なことだ。 ある意味、「声を後ろに回して」とか、「音を眉間に集めて」と言ったことの方が、 言っていることは簡単でも、複雑で難しいことを言っていると思う。 も…

一つの結論として

「ア」を発声したときのスペクトラム波形例を、ネット上で探してみた。 125Hzが最低周波数になっているので、これが基本周波数ということになる。 この125Hzの後に、250、375と続く倍音成分の小さな山の群れが出てくる。 ピークを250Hzとした第1フォルマント…

歌手フォルマントの作り方

「3kHzというとかなり高い響きのはずだが、いくら高い響きを意識しても、これが全く出ない。 むしろ、基本波よりも低い倍音を出すようなイメージで発声したときの方が、 3kHzが出ているという感じがする」 少し前の記事の最後に、このようなことを書いていた…

声帯は弦の振動ではない

声のピッチは、声帯の開閉によって作り出された周波数によって決まるわけだが、 その開閉を生み出しているのは、ベルヌーイ力と呼ばれる息のスピードである。 息の量とスピード(声門体積速度)と、声帯の厚さ(単位あたりの重さ)がそこに関係している。 よ…

肺は共鳴?反共鳴?

”喉頭音源を完全に独立な系とみなしてきた。だが、これは完全に正しいというわけではない。” こう書いているのは、バイブル的存在である、スンドベリの「歌声の科学」。 ”調音パラメータの変化は、声道の形状すなわちフォルマント周波数にだけ影響すると考え…

基本周波数の役割

スペクトルグラフは、発声においてとても参考になるものだが、 わたしたちの聴いている音と完全に一致しているわけではない。 P.ラディフォギッドは、人の聴覚についてこう述べている。 ”反復波形を有する複合音の高さの知覚は、最大振幅をもつ成分の周波…

フォルマントの山と谷

仮に、基本周波数100Hzで作られた「ɔ」に相当する合成母音を発生させたとする。 その音声スペクトラムは、100の整数倍に高次パルスがヒゲのように立ち並ぶ。 そのパルスの頂点をなだらかに結んでいくと、大きな山と谷が現れる。 この山がフォルマントである…