お腹が膨らむイメージ

お腹を膨らませるようにして声を出すという指導法がある。

まず、普通に息を吐いてみると、お腹は徐々にしぼんでいく。

今度はもっとリラックスしてゆっくりと息を吐いてみる。

お腹は、しぼんでいるような気もするし、変わっていない気もする。

おそらくお腹の表面だけで感じてみると、

あまり変化がないというのが正解なのだろう。

ただし、めいっぱい息を吐いた後に息を吸うと、

しっかりとお腹が膨らんでゆくので、

気がつかないうちにはしぼんでいるのだろう。

 

私たちは、イメージとして息を吐くとお腹がしぼみ、

息を吸うとお腹が膨らむと思っているのではないか。

それは科学的には正しいのだろうけれど、

感覚的には、息を吐いてもほとんどしぼむことはないと思った方がよさそうだ。

息がしっかりと最後まで吐ききれないのは、

途中でお腹が固くなってしまうからだと前回に書いた。

しっかりと吐こうと意識することが逆にお腹を拘束してしまい、

結果的に息は流れなくなるのではないか。

 

息を吐くとは、横隔膜の上昇運動だけが関係しており、

お腹が膨らむとか引っ込むというのはその結果であり、

お腹の運動で息を吐くわけではないのだろう。

お腹を膨らませながら声を出すのは、あえて逆のことを意識させることで、

イメージに引っ張られてお腹を引っ込め、固めてしまうことを防いでいるのだと思う。

お腹だけでなく、喉も頭も胸もお腹も身体全体が、

大きく広がっていくようなイメージに変えることで硬直を防ぐのだろう。