<ファルセットのポジションで地声のような声を出す> 簡単に言えば、これが指導者の言わんとするところである。 それはある意味、プロ(熟練者)だからこそ簡単に言える言葉であり、 習う側には、全く捉えどころのない言葉となるだろう。 むしろもっと難し…
お腹を膨らませるようにして声を出すという指導法がある。 まず、普通に息を吐いてみると、お腹は徐々にしぼんでいく。 今度はもっとリラックスしてゆっくりと息を吐いてみる。 お腹は、しぼんでいるような気もするし、変わっていない気もする。 おそらくお…
ファルセットに続きリップロールについても考えてみる。 リップロールは、声帯を使わないで唇と息だけで音に変換しているため、 音の高さは息の強さのみで調節することになる。 それに対して発声では、声帯と息の強さで音高を調節している。 言わばリップロ…
私たちは発声筋群を自由に操ることはできない。 自由に操ることができるのは、目に見える身体の表面の筋肉群だけだろう。 内臓やインナーマッスルは、直接動かすことはできない。 しかし、間接的になら動かす方法がある。 例えば、声帯を閉じろと言われても…
こもっている声と深い声とを混同しているのだと思う。 これを自分の耳で聴き分けるのは難しいのだろう。 日本人に男声オペラ歌手を真似させると、 こもった声を真似る人が多いように思う。 深い発声は簡単に真似できるようなものではなく、 こもった発声なら…
発声練習とは何か? 良い声を作り出す練習。 では、良い声とは何か? 以前は、美しく心地良い声と書いていた。 ならば、「ア」と「イ」ではどちらが美しく心地良い音だろうか? 「ア」の音からは、まろやかで甘美な柔らかさが感じられ、 「イ」の音からは、…
母音唱法という練習方法がある。 歌詞を付けて歌う前に、全て母音だけで歌ってみるというやり方だ。 母音で歌えば上手くなるのか? 確かに声の良さは、母音の発声で決まることくらいは分かっている。 子音の発声は、その母音の発声を邪魔するわけだから、 こ…
これまで、こんなイメージを持って発声練習したら上手くいった。 こんな、動きを付けたら高い声が出たということをしてきた。 しかし、もうこれで次回からは万全と思いきや、 一週間後に突然上手くできなくなるときが多々ある。 むしろその繰り返しでこのブ…
ここで書いている事とは、思い込みというものの排除なのかもしれない。 それほど発声には、難しい、一朝一夕にはできない特別な技術という刷り込みがあるように思う。 その刷り込みこそが、発声の上達を妨げているのではないかと思う。 人間が言葉を獲得する…
前記事に書いたバーチャルサラウンドの話は、 声が後ろから聴こえてくるといっても、 それは必ずしも後に音源があるわけではないということ。 「声を自分の身体から離す」という言い方があるが、 素人は、声がその人の口から出ていることがすぐにわかるが、 …
声は流体ではないが、流体のように感じたいという人間の文化があるのだと思う。 声を流体のように聴かせることが、発声法の目指すところなのかもしれない。 流体のようなとは、「立体的な音+時間軸」が感じられる発声だと考えてみる。 立体的な音とは、サラ…
前記事で書いたように、 「直角に折れ曲がった菅」で、喉をイメージすることが身についてきた。 たとえば、自動車の運転中に道路を直角に曲がるとき、 コーナーの外側に膨れてしまうことがあるだろう。 そんなように、声というものが喉の気道を曲がる時、 気…
プロのテノール歌手の声を聴いて、あのような開放された高音を出したいと誰もが思う。 たしかに「開放された声」のように聴こえる。 発声レッスンでも、喉を開放するような指導がされる。 しかし、そこに落とし穴があるように感じる。 音が上がっていくにつ…
「首の後ろ側を開いて」 このように、開く、開ける、広げろと言われたとしても、 本当に広げたりしてはいけない。 もし、素人がそうやろうとすれば、 ただ首の後ろの筋肉を固めてしまうだけになってしまうから。 だから、言葉の読み換えをする必要がある。 …
昨日のラジオ番組で、マインドフルネスの紹介をしていた。 その簡単なやり方として、呼吸法というものがある。 無という瞑想状態になることは難しいので、 とりあえず一つのことに集中することで、 それに近い状態になるのだという。 呼吸をするときに、自分…
高音で声が出なくなる時、「もっと喉を楽にして」と言われる。 そんな時に思うのが、「楽に高音がでるわけがない」である。 高音を出すには、「呼気の速度を上げ、喉頭を下げて、 声帯をしっかりと引っ張らなければならない」と思っているからだ。 だから、…
前記事の最後に、「自分の声」を聴くということを書いた。 それは、これまで自分の声が正しく聴けていなかったことでもある。 正しい声の聴き方とは、自分の内部の骨伝導を無視して、 耳の鼓膜だけで聴くことだと思う。 骨伝導を含めた声の方がより良く聞こ…
前記事の続きだが、自分はリップロールが得意であるため、 唇周辺の脱力は以前からできている方だと思っていた。 しかし、今回、本当の脱力を経験したことによって、 他のまだ脱力しきれていない部分も分かるようになったと思う。 今までの脱力は、無理やり…
倉庫のように天井が高く広い空間があったので、 そこで声を出してみた。 近隣には人の気配も無く、大きな声を出しても誰に聞かれる心配もない。 そういう空間だと、声が壁から跳ね返ってくるのに時差があるのか、 自分の声がいつも以上にしっかりと聴き取る…
発声について、長い間ずっと思っていた疑問がある。 いくら調べても、ここに触れているものに出会わないのも謎である。 考えてみて分かるものではないがで、結論が出るかどうかは別として、 頭の中を整理してみる。 それは、息を吐く時のお腹の動き。 以前、…
発声レッスン中に、ああして、こうしてと指導されたとしても、 すぐにその場で対応できるとはかぎらない。 もし、仮にできたとしても、それは偶然であって、 別な個所を指示された瞬間、元に戻ってしまうだろう。 発声練習には、積み上げ方式が必要ではない…
前々回の記事で、呼吸筋について少し詳しく書いた。 腹式呼吸と言うと、横隔膜を下げて吸い込む動作と、 お腹をコントロールして吐く動作の一連を指すと思う。 吐き方に関しては、ベリーアウト、ベリーインとそれぞれのやり方があるが、 息の吸い方に関して…
最近、古武術研究家・甲野善紀氏の、 「教わることの落とし穴」というDVDを購入した。 元々、興味を持っていた人であり、本を読んだこともある。 この教わることの落とし穴とは、まさにこのブログの主旨と一致するところだろう。 そう思って見始めたのだが、…
呼吸筋と呼ばれる筋肉群の中で、特に発声に重要な筋肉が三つ。 横隔膜、肋間筋、腹横筋。 横隔膜は、言わずと知れた呼吸筋の主役。 筋肉の塊と言われるが、調べてみると全てが筋肉ではないようだ。 頂点部周辺は「腱中心」と呼ばれ、面状の腱になっているら…
息を吸ったり吐いたりする時、横隔膜は上下運動している。 正確には、ドーム状(凸型)になった横隔膜が、 筋収縮によってフラットになるだけであり、 凸から凹へと上下しているわけではない。 力を入れているのは、横隔膜が収縮する吸気の時だけであり、 呼…
前回の記事では、発声練習で身振り手振りを加える補助イメージについて書いた。 問題とするのはそのあと。 なぜそれが定着しないのか? たとえば、自転車に乗る練習を始めた時、最初は補助輪を付けた。 それでコツをつかんでから補助輪を外すのだが、 恐怖感…
私が実践している、最高音を出す時のおまじない。 紐の先に石を結んで、ぐるぐると腰の高さ辺りで回転させるイメージ。 そして、最高音を出す瞬間に、紐の付いた石を頭上前方に高く放り投げるイメージ。 オクターブ跳躍で最高音を出す時、この動作を加えるだ…
「オ」の母音を使って発声練習をした。 身体を開く感覚が、「オ」にはあるらしい。 そして、今度はその開いた声を、一本に集めるのだと言う。 「一本に」とは、身体を棒のように縦の繋がりをもって、 眉間に声を集めなさいという意味らしい。 前記事で書いた…
前記事で書いた、胸の響きについて改めて意識してみる。 肋骨が振動していると書いたが、正確にはその肋骨が真ん中に集まっている、 胸骨という板状の骨で振動を感じていた。 今は、その胸骨が最大限に振動するような練習を心掛けている。 練習は、通勤で自…
高い音の響きがマスクに集まるようになると、今度は低い胸の響きが求められる。 高い響きと低い響きの共存。 これがソロで歌う人の条件。 それは、一人で3パートのユニゾンをやっているようなものかもしれない。 ベース、バリトン、テナーの三部もしくは、…