倉庫の発声2

前記事の続きだが、自分はリップロールが得意であるため、

唇周辺の脱力は以前からできている方だと思っていた。

しかし、今回、本当の脱力を経験したことによって、

他のまだ脱力しきれていない部分も分かるようになったと思う。

今までの脱力は、無理やり力を入れていないという程度の脱力であったのかもしれない。

 

そもそも、なぜ唇の周りに不要な力が入っていたのか、

その理由を考えてみる。

自分の頭の中では、

「口腔は大きく開けても、唇は大きく開け過ぎてはいけない」

「唇の形は、丸く、やや縦長の形状に開ける」

「すこし、ラッパ状に突き出すように広げる」

という意識があった。

そのように教わったのだけれど、

実際そのようにしてみると、どうしても唇に力が入ってしまう。

つまり、過剰にやっていたのだろう。

そのせいか、下顎の方まで固くなっていたと思われる。

もっと軽く、ふわっとやるべきだったのだろう。

 

唇の脱力以外にも、もう一つ実感できたことがあった。

軟口蓋の後部に、鼻の穴くらいの大きさの道ができ、

そこから息が抜けていく感覚が得られた。

よく言われるところの、

「眉間に声を集めなさい。細い穴に息を通すように」

 

「声を頭のてっぺんに当てる」という、初心者向けの表現がある。

頭のてっぺんというのは大げさだが、

方向的には軟口蓋に向かってということなのだろう。

そして、軟口蓋から鼻腔、眉間にかけて声が当たるような感覚は、

以前から持てていたと思う。

「声が、息が当たる」という表現はまったくその通りで、

直径3cmほどの丸い面に当たっているような感覚であった。

しかし、今回は「面に当たる」という感覚ではなく、

ストローの穴程度の中を、息が漏れていくような感覚であった。

そして、その穴を通すことで楽に声が放射されていく。

 

結果として、どうしたらそのように出来るのかという答は無いだろう。

出来なければ得られないし、出来れば得られる。

この二つしかないように思う。

徐々に出来ていくようなものではないかもしれない。

今回できた理由は、はっきりしている。

これまでにないリラックスした精神状態になれたこと。

音場という空間と、「自分の声」というものに集中できたこと。

おそらく多くの人が「自分の声」を聴くことに対して、

抵抗があるのではないだろうか?

骨伝導を通さない自分の声は、どこか違和感がある。