2018-01-01から1年間の記事一覧

言葉のリスク

発声メソッドには、「頭声」とか「胸声」という言葉が使われる。 しかし、それは頭に響くのが頭声で、胸に響かせるのが胸声というわけではない。 頭や胸には共鳴腔は無く、そのように聴こえるというのが実態だろう。 頭声とか胸声の違いは、声帯の使われ方の…

不随意筋に任せる

筋肉には、随意筋と不随意筋があると言う。 発声を習う人たちは、努力して、練習して上手くなろうとするので、 知らず知らずのうちに、随意筋を一生懸命使ってしまうことになるだろう。 しかし、残念ながら声楽的な発声では、随意筋があまり使われていない。…

息漏れ・芯ある声

「息漏れのある声」と「芯のある声」 この二つは、反対の性質を持つ声である。 良い声というのは、この両方を満たしている声らしい。 なぜなら、それはミックスボイスに繋がるからだ。 読み替えるなら、「息漏れ」とはファルセットであり、 「芯のある声」は…

発声ブートキャンプ

パソコンの中から、古いデータファイルが出てきました。 当時、コーラスグループの機関紙に、私が連載していた発声コラムのデータです。 2009年に全9回シリーズで作っていたようで、その頃の時代も感じられ、ちょっと懐かしいです。 恥かしさ反面、当時の労…

舌根を持ち上げてみる

「喉を開ける」というのは、「舌根を下げて、軟口蓋を上げる」ことだと言われている。 それに対して、「口の奥を、真後ろに引っ張る」という指導法もある。 前者が縦方向の引っ張りを意識するなら、後者は前後方向を意識させる。 今度は、新たにこんな表現を…

離隔をとる

最近、(喉を)開けるという言葉を使わないようにしている。 代わりに「離隔」という概念を利用している。 元々、電気用語で「離隔」というのは、高圧電線から距離を置くことを差す。 高圧線に近づくと、触らなくても放電によって感電することがある。 だか…

フラットな耳

前記事の最後の部分からは、 「人間は音の一部分しか聴けていないのではないか」と考えさせられる。 誰もが同じ音を聴いているのではなく、様々なフィルターを通して聴いている。 だとすれば、それは発声する音にも影響を与えているはずだ。 発声は、習う事…

吸い込みと押し込み

今、AI研究者の出した読解力の書籍が話題になっていると聞く。 「一を聞いて十を知る」という言葉もあるが、 何かを習うということにおいて、読解力は重要だろう。 一を聞いて一を理解することは、あたり前のように聞こえるが、実は難しい。 特に発声に関し…

発声は気持ち良い

発声は他の習い事とは違って、 「なるほど!そうなのか」、とその場で納得できる事って少ない。 「でも、どうやってやるんだろう?」、と頭を抱えることの方が多い。 おそらく誰もがそう感じているだろう。 それはそういうものなのだから。 だから、「悩むこ…

舌根の位置

舌根の位置について、もう少し正確に書いてみる。 ここで書いている舌根とは、舌の奥の意味であって、 医学的には舌根は直視することはできないらしい。 私は舌根が上がると書いたが、本当に上がっているのかどうかはわからない。 正しくは、舌の中央部辺り…

舌根の位置

久ぶりにペンライトと手鏡を持って口の中を覗いてみる。 高音になるにつれて舌根が持ち上がっているのがわかる。 それが良くないことはよく聞く話だが、なぜだめなのかがわかっていない。 私が高音で舌根が上がってしまうのは、 その方が高音が出しやすいか…

必要性が技術を導く

前回は、両掌を180度に広げた状態から徐々にその角度を狭め、 そうすることで強く伸びのある声になったように感じる話を書いた。 今度はそれを応用して、少し違うやり方にしてみる。 目の前に人差し指を二本立てる。その間隔は2cmくらいだろうか。 そこに息…

想像してから声にする

「イ」の母音は、口の中が縦形になるので息が鼻に抜けやすいので、 鼻腔共鳴が得られやすい。 それに対して、「オ」の母音は息が口の方に抜けやすく、 鼻腔まで息が回りにくい。 だから、「オ」の母音は芯の無い散漫な音になってしまう。 そこでレンズで光を…

イメージと言葉 3

短期間で発声が上手くなる人。 おそらくそれは、一瞬の偶然を逃さない人だと思う。 一瞬、できたことを「これだ」と気づける人なのだと思う。 ちょっとした自分の声の変化に気づける人。 それには、毎日、自分の声を聴くことが大切だと思う。 毎日練習すれば…

イメージと言葉 2

「喉の奥を開ける」、「丹田に力が入る」というのは、 それが上手くいったときに、喉の奥を大量の空気が流れている感じがする。 上手くいったときに、丹田が支えられているように実感できる というイメージであって、手段ではない。 できるようになって初め…

イメージと言葉 1

発声レッスンにおいて、先生はイメージを仲介することで生徒に指導をしている。 スポーツであれば、腕のこの筋肉をこう使うとか、具体的な指導ができるのに対し、 発声指導ではそれができない。 それは、発声で直接使われる筋肉が、わたしたちの目に見えない…

四次元唱法

発声には段階があって、段階毎に意識する事柄が変わってくる。 例えば、「しっかりお腹で支えて」という指示があったと思うと、 「だら~んとして、どこにも力を入れないで」という相矛盾した要求がされるときがある。 これは、発声というものがバランスによ…

デッサンのように

発声が、試行錯誤だと結論づけるわけにはいきませんが、 少なくとも、私は試行錯誤で出来たので、その可能性も存在するのは事実でしょう。 「頭で考えずに、身体に任せなさい」と教える指導者もいます。 でも、いつも試行錯誤では、歌として役には立たちませ…

喉の後ろを開ける

例えば先生が、「喉の後ろを開けて」と言ったとします。 これを、「喉を開けろ」と命令系で受け取ってしまっては、 いつまで練習しても、決して喉は開かないと思います。 脳は、「どうやって開くの?」と混乱するだけではないでしょうか。 そのとき、喉が開…

「発声道」

まず、自己紹介がわりに、私がどのように発声に興味を持っているかということを書いてみます。 端的に言えば、「道」に通じる面白さなのかもしれません。 剣道や茶道のように、与えられた自分の身体を使って行わなければなりません。 カメラのように、その機…

はじめに

「発声練習」と検索すれば、たくさんのサイトが引っ掛かってきます。 そのどれもが勉強になるものばかりだと思います。 でも、上手くいかない、上手くいったのに、また元に戻ってしまう。 そんな経験が、誰にでもあるのではないでしょうか。 それってもしか…