「発声道」
まず、自己紹介がわりに、私がどのように発声に興味を持っているかということを書いてみます。
端的に言えば、「道」に通じる面白さなのかもしれません。
剣道や茶道のように、与えられた自分の身体を使って行わなければなりません。
カメラのように、その機材を取り替えることはできません。
その身体の使い方は、その人だけのものであり、
その人だけの「道」ということになります。
それはヨガにも共通したものがあるのかもしれません。
「身体感覚」と「意識」が、すべてを作ると考えます。
さて、「発声」というものを、思いっきり高尚な位置に上げてしまいましたが、
発声が思い通りにならないということは、「身体感覚と意識」が低い次元にあるか、
もしくは間違った次元にあると考えます。
素人が簡単にヨガのポーズが取れないように、
普段使っていない筋肉や皮膚感覚に、新しい神経を張り巡らせなければなりません。
それは教わったり、習ったりしてできるものではないはずです。
まず、自分がいかに鈍感で未熟かということを、
自分自身から知らしめられるところから始まると思います。
自分が、先生と同じようにできていないことに気づけることが大切だと思います。
良くないのは、真似をすることです。
私も最初は先生の声を真似すればいいと考えていましたが、
それではただの声色(こわいろ)、モノマネのレベルにしかならないことを知りました。
先生が自分とは全く違う身体のアプローチでその声を出していることに、
生徒はなかなか気づかないものです。
ただ、先生と似た声を出しているだけだという誤った認識を解かねばなりません。
それには、耳よりも、皮膚感覚で自分の状態を捉えることが大事なのではないでしょうか。
耳に頼っていると、本番で痛い目にあいます。
先生の言っている感覚と同じになれるということが目標です。