イメージと言葉 1
発声レッスンにおいて、先生はイメージを仲介することで生徒に指導をしている。
スポーツであれば、腕のこの筋肉をこう使うとか、具体的な指導ができるのに対し、
発声指導ではそれができない。
それは、発声で直接使われる筋肉が、わたしたちの目に見えないからであり、
随意的なコントロールができない内部の筋肉であることに原因がある。
そのことから、スポーツや楽器演奏のような練習方法が発声では通用しない
と言うことを、学ぶ側も理解しておかなければいけないと思う。
これをすれば上手くなるという、楽器奏法のようなメソッドは存在しない
ということから始まる。
「喉の奥を開ける」とか「丹田に力を入れる」という表現がある。
実はこれ自体、既にスポーツ的指導の影響を受けていると考える。
「発声はイメージ」である。
それは直接指導ではなく間接指導なのだから、
わたしたちは、「喉の奥を開けるイメージ」、
「丹田に力を入れるイメージ」と読み替えなければいけないだろう。
そして、これがある程度できるようになると今度は、
「もっと喉の力を抜いて」とか「お腹を緩めて何にもしない」という指導に変わってくる。
つまり、「本当に喉が開いてしまってはダメ」、「本当に丹田に力が入ってしまってもダメ」
という発声の本質に迫ってくるわけだ。
この方向転換を上手くクリアするには、
「発声指導はイメージを仲介している」
ということを忘れてはならない。