想像してから声にする
「イ」の母音は、口の中が縦形になるので息が鼻に抜けやすいので、
鼻腔共鳴が得られやすい。
それに対して、「オ」の母音は息が口の方に抜けやすく、
鼻腔まで息が回りにくい。
だから、「オ」の母音は芯の無い散漫な音になってしまう。
そこでレンズで光を中心に集めるように、声も中心に集める必要がある。
そこでよくやるのが、顔の両側に手を開いて置き、
開いた掌の角度を徐々に狭めていきながら、音を顔の中心である鼻に集めるイメージを持つやり方だ。
これは前回も書いたとおり、手の動きが音を変えてくれるわけではない。
音のイメージを掴むために、視覚的な暗示を利用しているだけである。
暗示を受けると何が起きるのか?
たぶん、これから自分が出そうとする音を想像することに役立つと思われる。
先生が指導する言葉も同じで、その言葉によって自分で音を想像しなければ意味はないと思う。
人間は、イメージされたゴールに向かって、身体が巧妙に反応するはずだ。
だから、常に目標となる声を頭の中に人参のようにぶら下げておくことが必要だろう。
その想像無しに、勝手にいい声が出るわけはない。
想像することは、無意識では起きないのだから、かならず想像する意識が必要となる。
そういうことが集中した練習に繋がると思う。
「声を出す前に音を想像する」
これは音色だけでなく、音程に対しても同じことが言えるだろう。
構え遅れのないように、声が出た瞬間から正しい音程が出るように、
「出だし」に集中すれば、あとは気持ちよく音が伸ばせるだろう。