固有覚を鍛える

前記事で書いた、胸の響きについて改めて意識してみる。

肋骨が振動していると書いたが、正確にはその肋骨が真ん中に集まっている、

胸骨という板状の骨で振動を感じていた。

今は、その胸骨が最大限に振動するような練習を心掛けている。

練習は、通勤で自転車に乗っている片道40分の間を利用している。

蒸気船の汽笛のようなボオーッという声を、音程を変えながらひたすら出し続けている。

 

例えば、口を閉じて普通に「うん、うん」と音を出しながら頷いてみる。

すると、口の奥、喉の下あたりで、ビリビリと振動するのが感じられる。

おそらく、場所的には声帯の位置なのだと思う。

そして、以前に書いたエッジボイスと同じ音が聴こえる。

声帯が断続的に閉じたり開いたりして、破裂音として聴こえる。

その振動は、鼻の付け根あたりでも感じられることが分かる。

いわゆる、ハミングで練習するところの、眉間への響きだろう。

 

次は、そのエッジボイスを音楽的な声に変えてみる。

「うん、うん」から、「うーーーん」に伸ばしてみる。

すると、エッジボイスが消えて、蒸気船のボオーッという音色に近くなる。

それは、声帯で感じていたビリビリとした振動が消え、胸骨に振動が移動したように感じられる。

まるで、声帯はまったく使われず、胸骨だけが鳴っているような感じになる。

しかし、ちょっと楽をすると、その振動は胸骨から鼻の付け根(ハミング)に移動してしまうようだ。

ハミングは、身体的には楽な状態にあるのだろう。

今度は、そのハミングから、胸骨の振動に移動させてみる。

音の発生源であろう声帯の操作は一切していない。

それなのに、振動が胸骨に移動している。

同じハミングであっても、

鼻腔共鳴のハミングと、胸腔共鳴のハミングの2種類あるのだと分かる。

その行き来を練習することで、身体の中のどの部分が活動しているのかが分かるのではないか?

 

実際それは、徐々に分かってきた。

身体の中の感覚を研ぎ澄ますことで、いろんな部位に感覚が生まれる。

これは、学術的には「固有覚」と呼ばれている。

この言葉は、ぜひ調べてみて欲しい。

深部感覚という意味であり、ボイトレとはこの固有覚を磨く練習であると思う。